いとう治療院ブログ

【鍼灸と適応疾患】 鍼灸治療で行う骨盤矯正

2013/7/27

骨盤矯正というと、整体やカイロプラクティックなどの手技療法者による治療と考えられているが、鍼灸治療でも大いに活用していきたい治療法である。

骨盤が変形する要因は、解剖学的に分けて大きく二つあるように思う。第一に、骨・関節由来である。これは事故・外傷などの外力が加わったことによる瞬間的な変移と考えられる。第二に、筋・腱・靭帯などの軟部組織由来のものである。

同一名の筋肉が左右で異なる緊張度や長さである時、その筋肉が付着している骨には歪みが生じる。例えば、大腰筋。脊柱が固定されている状態では、大腰筋の作用は股関節を屈曲する(太ももを上に引き上げる)ことである。立位かつ脊柱の固定状態で、且つ左の大腰筋が緊張し短縮した場合、結果として左骨盤の前側が上方へ移動する現象が見られる。(※解剖学的知識にない方にはや難解なことを書いていると自覚しています。機会があれば、図で示します。)

人体の構造というものは、何処かが変移すると必ず別のどこかも連動して変移して悪いなりにバランスを取ろうとするものであり、これは骨盤においても顕著に見られる。先の例で言うと、左前方が上方に移動すると、左後方は下方に移動(左寛骨;骨盤の後方回旋)する。逆に、右寛骨はその逆で前方回旋を行う。

このような骨盤の歪みで来院する方はとても多く、本人は対して骨盤の歪みを自覚せずに痛みや不快感などを訴えるのみである。(多くの場合、骨・関節の歪みに対しては無自覚。)鍼灸師としては、筋・骨格のバランスを精査し、歪みを起こしている原因筋に対して適切な鍼を行うことで、骨の歪みをとり、症状の改善を図ることが出来る。