いとう治療院ブログ

【治療戦略と症例】 膝痛

2013/9/17

【患者情報】60代後半女性 ビル清掃の仕事
⇒膝の張りや痛みがでると来院 ペースは概ね月に1回程度

【主訴】左膝の内側が慢性的に張りがある。

【既往歴】糖尿病 HbA1c値(現在約8、最高値は約11)

【治療方針と戦略】

★身体の構造バランスについて
座位にて背部から腰部・骨盤部の筋および骨格を確認

・ヤコビー線は左側が下がる
・帯脉穴の反応は左が優位(深部に筋張った構造物が左優位)
・腹斜筋群の張りも左が優位

帯脉穴深部の構造物は大腰筋の緊張を示している場合が多い。(腹斜筋群がそれほど緊張を示してないならば触診可能)
大腰筋は腰・下肢の「要」である筋肉であり、同側の膝痛との関連を念頭におく。

左ヤコビー下がりは処置からの逆算で考えると下垂処置である。左の腹筋群が緊張してるのは、下がっている寛骨に対して抗っているものであると思われる。

★腹証について

・ネーブルクロック4時に硬結
・左中注大巨に硬結
・心窩部に張り
・左上腹部に張り

中注大巨の反応はオ血塊(⇒オ血処置)。ネーブルクロック4時の硬結(⇒副腎処置)と考えるが、後述する脉診および身体バランスを考慮して「左腎経の気滞」とする。
心窩部の張りは腎虚による心の実と考えた。左上腹部緊張はこのようなケースにおいては、寛骨の左下垂に腹斜筋群の緊張である場合が経験上多い。

★脉について

・脉状 やや滑脉
⇒三部における脉状
・脉差 左尺中の虚
・気口脉診 腎経の気滞は確認した。(その他、精査せず)

☆処置
・左復溜に留鍼 (副腎処置)
左大腰筋の正常化を重要な課題として捉えている。大腰筋の起始部は椎骨の横突起の前、脊柱の前面であることから腎経経筋の走行上とみる。もちろん腎虚対策でもある。

・左中封・尺沢に留鍼(オ血処置)
腹証に準じた処置。尺沢は丁寧、且つ経絡と経穴の特性を生かした戦略的な手技を行う。(※またいつか纏まったら書きます)

・太白の硬結に留鍼
太白のこりこりした構造物に刺鍼。脾虚の改善。糖尿病対策(病のバックグラウンド)で脾虚改善の処置あは必ず行っている。

⇒置鍼10分後 座位にて腰部のバランスを再チェック。完全ではないが、ヤコビーの傾きが改善し、筋群の弛緩も得られる。症状(膝の張りもほぼなし)

・伏兎あたりに2点留鍼
確認の為、検脈すると両関上の脉状が浮いて尖った印象。胃経と胆経の問題を念頭において、膝症状の経筋治療として大腿部前面の部分を選択。伏兎周囲では胃経と胆経の経筋が合わさっている。取穴は経筋的に反応点重視で。5分ほど置鍼する。置鍼後は関上の脉状も落ち着いていた。

※記号220-2