いとう治療院ブログ

【治療戦略と症例】 殿部痛

2013/9/13

【患者情報】30代後半女性 図書館司書

【主訴】左のお尻が痛い
→昨夜より突然に痛みが出てきた。座っていると痛む。外傷などの外的要因は見当たらない。仕事上、本を持ち上げたり、椅子から立ったり、座ったりが多い。明日以降の仕事に支障が出そうなので来院。腰部の張った感覚は慢性的にある。腰部の違和感は月経時期と関係している気もする。

【局所所見】
・股関節・腰椎等に運動痛はなし
・坐骨結節付近の圧痛なし
・左殿部に著明な圧痛(表面および深部共に)

【局所の施術方針】
左殿部の圧痛を除去して、座位を取れることを目標に。

【全体所見とその他の症状】
・月経前に不調、生理痛(腰部のだるさ)
・慢性肩こり症
・便秘
・胃腸を壊しやすい(食べ過ぎ等で)
・喉が弱い(風邪は喉からが多い)
・皮膚が荒れやすい
・虫垂炎OPE 10代
・アレルギーあり 結膜炎が多い

・坐位にて大雑把に骨盤のゆがみを確認
・腹斜筋群の緊張 くすぐったい
・脉状:細・緊
・腹直筋緊張
・中注・大巨のやや圧痛と硬化(左が優位)

【処置と考察】
情報の選び方によって、治療法の選択枝は様々であると思われる。局所の殿部筋肉の弛緩から行っても良いだろうし、歪みを精査して間接的に殿部の筋肉を緩めてもよい。しかし、このケースでは全身状態を先に処置することが重要である。まず、殿筋の圧痛が強すぎて局所刺鍼はあまり好ましくない。バランスに関しては、単純なパターンでなく正しい位置に戻すのに時間がかかる。また、所見より自律神経の不安定差や?血証が示唆され、これらは殿部痛の土台つまり症状のバックグラウンドとして考えられる。

副腎処置(復溜に留鍼)、?血処置(中封・尺沢)、扁桃処置(大腸兪、天?)
→座位で疼痛確認およびバランス再チェック→痛みはややまし。骨盤や腹筋群のアンバランスが良く分かるようになる。

左の梨状筋および大殿筋の緊張を緩める為にバランスを整える。また、両筋にある硬結の除去も。
→左陽陵泉の置鍼で表面の圧痛がほぼ無くなる。
→殿部筋群全体に左右バランスを整える
→梨状筋部に刺鍼→留鍼

→施術後の段階では、ひとまず痛みは無くなった。殿部痛のみであれば初回施術のみ終了も可能。

※記号455-1