いとう治療院ブログ

慢性腰痛症と鍼灸 ~当院のアプローチ~

2015/4/25

  • 鍼灸と適応疾患

腰痛は肩こりと並んで国民病と呼ばれるほど多くの方が悩む症状であり、当院においても来院する大半の主訴(メインの症状)は腰痛です。

一言で、腰痛と言っても様々な訴えがあります。

 

♠ 腰痛の様々な訴え

「腰が痛い・重い・だるい」などは理解しやすいです。

腰以外の訴えでは、「足が痛む・しびれる」であったり

「朝起きたときにつらい」という時間と関連したもの、

「腰が伸びにくい」「寝返りが痛い」というような動きと関連したものであったりします。

また、「ぎっくり腰になりそうで怖い」・「精神的ストレスがたまると腰痛になる」という心理的なもの

「なんとなくしんどい」という漠然としたものまであります。

これらの症状は慢性の腰痛を示していると思われます。

 

♠ 慢性腰痛と急性の腰痛の処置の違い

重い荷物も持ち上げた際など、急激に起こるぎっくり腰(急性腰痛)の場合は、傷害されている部分がハッキリと明確になっていますから、その部分に対する局所的な鍼灸施術で完結する場合がほとんどです。原因も明瞭ですし、負傷期間も短いのでシンプルな施術で大丈夫です。

しかし、慢性腰痛は、急に生じるぎっくり腰と比べて決定的な原因が無いことが多いものです。慢性という名の通り一定期間に渡り症状が続いています。従って、腰痛の状態は様々な原因が長期間に混ざり合ったものとなっています。原因は複雑化し、簡潔には言い表せないものとなっています。この場合の施術は、局所的ではなく全体的・全身的な鍼灸となります。

 

♠ 全身的な鍼灸施術 ~オーダーメイドの鍼灸施術~

全身鍼灸を円滑の行う為には、今までの病歴(既往歴)やその他の症状(随伴症状)を詳細に聞くことが大切です。施術は個人個人の体質や病情に合わせたオーダーメイドの方針となります。

一見して腰痛と関係ないと思われがちな情報でも、実は腰痛の治癒を阻害しているものである可能性もあり、とても重要です。

腰痛の治癒を阻害している要素の一つに内臓の不調が挙げられます。

生理痛などの婦人科関連の不調、糖尿病やその予備軍に見られる糖代謝の異常、加齢からくる内臓の下垂や(これはかなり多いと認識しています。)また、免疫システムの不調や自律神経・ホルモン失調も腰痛に大きく関連していると思います。

その他、姿勢不良や身体の使い方の癖による筋肉・骨格の歪みや運動不足による筋力低下も重要な腰痛の原因です。

例を挙げればきりがありませんが、腰痛をと言ってもそれぞれ身体の状態が十人十色であり、その施術がオーダーメイドになるのはごく自然なことだと思います。

 

♠ 腰痛の積み重ね・・・?

若い方や健康に自身のある方は、「腰痛ぐらいあるけど寝れば治るし」「治療なんて必要ない」とおっしゃいます。

もちろん、それで良いと思います。むしろ、そうあるべきでしょう。自然治癒力が活きていて、自分で治す力があれ良いのです。

ただ、実際にはそうは上手くいかないもの事実です。

先に急性腰痛というシンプルな腰痛の例を挙げ、簡単な施術で改善すると言いました。

「負傷即施術」という流れが完成してれば、負傷した箇所はすぐに復旧でき、もとの状態に戻ると考えられますが、実際に施術に取り掛かるのがおくれたり、「痛みだけとる施術」により”一見して治ったようにみえる状態”になっていることがよくあります。

この一見して良くなった状態の積み重ねが慢性腰痛です。

 

慢性の腰痛は、状況が複雑化している為、ストレートな施術では改善しにくいものです。

複雑な「知恵の輪」やルービックキューブを解くような印象があります。

複雑化している故、自然治癒力はかなり阻害された状態です。

自然治癒力に問題のある方は、さらに腰痛が慢性化・悪化していきます。

早めに良い方向に切り替える必要があるでしょう。

 

私はどんな療法にも腰痛には効果があると思っています。

東洋医学を主体とした鍼灸には、自律神経(血流・内臓機能の改善)の調整と筋肉の調整が同時に出来るとても有用な療法だと考えています。

マッサージ・整体などを試しても、もう一押しなにか足りない方は鍼灸も一つの手段として検討していただけると幸いです。

(2010年4月3日公開:2015年4月25日更新)

色鉛筆のイメージ

慢性腰痛には多角的視点を持った療法が重要

慢性腰痛の原因を追究する鍼灸院

はりきゅう いとう治療院@豊中市・吹田市